木構造と鋼構造の特性、コンクリートや鉄筋コンクリートの扱い、地業工事の基礎知識、施工管理や現場管理に関連する内容が含まれています。
これらの質問は、建築分野における実務的な技術やプロセスの理解を深めることを目的としており、建築技術者や施工管理者が遭遇する実際の問題や状況を反映しています。
過去問解説
1.母屋の墨付けに当たっては、継手の位置を部材に生じる力の小さい箇所とし、平行する部材の継手位置を( 1 )に配置する。
乱継ぎは、部材間の継手位置を互いにずらして配置する方法で、これにより部材にかかる力を均等に分散させ、構造の安定性を高めます。
はぜ掛け:木材を接合する際に使用される伝統的な日本の大工技術の一つです。この技術は、主に柱や梁などの木材を接続するために用いられます。
三つ割:「三つ割」とは、木材の接合方法の一つで、主に木造建築において使用されます。この技法は、木材の端部を三等分に割り、中央の一部を取り除くことで作られた「T」字型の突起を、他の木材の溝にはめ込むことによって接合を行います。
2.洋室の壁仕上げを( 2 )プラスター塗とする場合、空気中で硬化(気硬性)し、急激に乾燥させるとひび割れが発生するおそれがあるため、乾燥は徐々に行う。
《選択肢》
ア.せっこう イ.しっくい ウ.ドロマイト
ドロマイトプラスターは空気中で硬化する気硬性のプラスターで、急激に乾燥させるとひび割れが発生するリスクがあります。徐々に乾燥させることで、このリスクを軽減することが可能です。
3.在来工法(平屋建)における基礎の完成後から骨組の完成までの建方の流れは、( 3 )となる。
《選択肢》
ア.土台すえ→軸組の建込み→建入れ直し→小屋梁の架構→小屋組の組立→骨組完成
イ.土台すえ→軸組の建込み→小屋梁の架構→建入れ直し→小屋組の組立→骨組完成
ウ.土台すえ→軸組の建込み→小屋梁の架構→小屋組の組立→建入れ直し→骨組完成
この流れは在来工法における一般的な建方のプロセスを表しています。土台の設置に始まり、軸組の建込み、小屋梁の架構、建入れ直し(建物の垂直・水平を調整)、小屋組の組立、そして骨組の完成へと進みます。建入れ直しは小屋梁の架構後に行うのが一般的です。
4.一般的に外部開口部に用いられるアルミニウム合金製サッシには、枠まわりに( 4 )を施して雨仕舞を良くする。
《選択肢》
ア.ステップル イ.戸当たりじゃくり ウ.シーリング
アルミニウム合金製サッシの枠周りにシーリングを施すことで、雨仕舞(雨水の侵入を防ぐ)を良くすることができます。シーリング材は防水性が高く、サッシと建物との接合部に適用され、水の侵入を防ぐために使用されます。
戸当たりじゃくり:「戸当たりじゃくり」とは、主に建築や大工仕事で使用される用語で、ドアや窓などの開口部において、開閉する建具(ドアや窓扉など)が枠にきちんと収まるようにするための加工方法またはその加工部分を指します。
1.工事関係者以外の出入りの禁止や、通行人など第三者に対する災害防止などを目的として、工事現場と外部を区画するために設置するものを( 1 )という。
《選択肢》
ア.足場 イ.防護棚 ウ.仮囲い
工事現場と外部を区画するために設置する「仮囲い」は、工事現場の安全と秩序を保つため、また通行人などの第三者を保護するために使われます。
2.木構造の和室の仕上げに用いるしっくい塗の手順は、下塗 → むら直し →( 2 ) → 中塗 → 上塗 の順に塗り付ける。
《選択肢》
ア.ぬき伏せ イ.かの子ずり ウ.水湿し
しっくい塗りの手順で「かの子ずり」は、下塗りと中塗りの間に行われる工程です。この工程では、表面のむらを修正し、中塗りがなめらかに施工できるようにするための下準備を行います。
「ぬき伏せ」とは、主に伝統的な日本のしっくい(漆喰)塗りの工程において使用される技法です。この工程は、しっくい塗りの中でも特に下塗りの工程において行われます。
「水湿し」とは、建築や塗装の分野で行われる工程の一つで、主に壁や床などの表面に水を適度に塗布することを指します。この工程は、しっくいや石膏などの塗料を施工する前に行われることが多いです。
3.木構造の枠組壁工法は、枠組材とよばれる規格材で枠をつくり、それに面材を打ち付けて( 3 )を製作し、これらを組み立てて躯体を形づくる。
《選択肢》
ア.床枠組・壁枠組・屋根枠組(小屋組)
イ.土台枠組・柱枠組・梁枠組
ウ.下枠・上枠・壁枠
枠組壁工法では、規格化された枠組材を使用して、床枠組、壁枠組、屋根枠組(小屋組)を製作します。これらの枠組みは建物の主要な構造部分を形成し、建物の躯体を構築する基盤となります。
4.鉄筋コンクリート構造の型枠工事に用いる締付け金物は、堰板の形状を保持するために型枠材をつなぎとめる働きをする部材として( 4 )がある。
《選択肢》
ア.セパレーター・フォームタイ
イ.パイプサポート・ジャッキ
ウ.コーン・スペーサー
セパレーターとフォームタイは型枠工事において使用される締付け金物です。これらは型枠材を固定し、適切な形状と強度を確保するために必要な部材です。
◎パイプサポートは、主に型枠工事において使用される支持機材です。
◎「コーン」と「スペーサー」は、主に鉄筋コンクリート工事において使用される型枠関連の部材です。
5.鋼構造の加工において鋼材を切断する場合は、シャーリングと呼ばれる(5)による方法がある。
《選択肢》
ア.ガス切断 イ.のこ引き ウ.せん断
「シャーリング」とは、鋼材を切断するためのせん断作業のことです。この方法は、鋼材に対して高い圧力をかけ、物理的に断ち切る技術で、大量の鋼材を迅速かつ効率的に切断するのに適しています。
◎ガス切断は、主に金属を切断するために使用される方法です。
◎のこ引きは、木材やプラスチックなどを切断するための方法です。
1.木構造の工事において、設計図・板図・現寸図などによって木材に仕口・継手の形や切断位置を記す( 1 )は、尺づえなどを用いることが多い。
《選択肢》
ア.むら直し イ.建込み ウ.墨付け
墨付けは、木材に対して仕口や継手の位置、切断位置を正確にマークする工程です。設計図や現寸図に基づいて、尺づえや墨つぼなどの道具を用いて木材に印をつけます。
◎「むら直し」とは、主に塗装やしっくい(漆喰)塗りなどの表面処理工程において行われる作業です。この工程は、塗り表面の均一性を高めるために重要です。
◎「建て込み」とは、主に建築分野で使用される用語で、建物の構造体や部材を現場に持ち込み、正しい位置に設置し、組み立てる作業のことを指します。この工程は、建物の骨組みを形成する重要な段階です。
2.地業工事のうち、( 2 )地業は、岩盤や土丹盤など支持力のある良好な地盤を削り、支持面とする地業である。
《選択肢》
ア.地肌 イ.捨コンクリート ウ.割石
地肌地業は、建物の基礎が直接接する地盤面を整備する工事です。これには、岩盤や硬い土層など支持力のある地盤を削って、基礎の支持面を作り出す作業が含まれます。
◎「捨コンクリート」は、主に建物の基礎工事で使用されるコンクリートの一形態です。このコンクリートは、直接建物の基礎としての機能を果たすわけではなく、基礎の下に敷くための下地材として使用されます。
◎「割石」は、天然の岩石を特定の大きさや形に加工した建材です。これは、構造物の基礎工事、道路建設、造園、排水工事などに広く使用されます。
3.鋼構造の工事において、鋼材にボルトなどの孔(穴)あけ加工を行う場合は、原則として( 3 )を用いる。
《選択肢》
ア.リーマ イ.ドリル ウ.タップ
鋼構造工事におけるボルト孔のあけ加工には、一般的にドリルが使用されます。ドリルは、鋼材に精密で清潔な穴を開けるのに適しており、ボルト接合に必要な穴あけ作業に広く利用されています。
◎「リーマ」とは、主に金属加工に使用される工具で、既に開けられた穴の仕上げ加工や、穴の直径を微調整するために用いられます。
◎「タップ」とは、ねじ山(ネジの溝)を内側に切るために使用される切削工具です。
4.型枠工事において、コンクリートの打込み時の振動に耐え、コンクリートが硬化するまでの期間にその荷重を支える( 4 )には、ばた材や支柱などがある。
《選択肢》
ア.支保工 イ.けがき ウ.建地
支保工は、型枠工事においてコンクリートの打ち込みと硬化期間を支えるための構造です。
◎「けがき」とは、建築や大工仕事において、木材や金属などの材料に寸法や切断線、加工線などを印す作業を指します。
◎「建地」とは、土地や不動産に関する用語で、建築物が建設される土地や敷地を意味します。
5.不透水性で伸縮に富む( 5 )防水は、材料の厚さが薄いので損傷しやすく、圧力で伸びて薄くなったりすることがある。
《選択肢》
ア.塗膜 イ.シート ウ.モルタル
シート防水は、薄い防水シートを使用する防水方法です。この材料は不透水性が高く、伸縮性に富んでいますが、その薄さから損傷しやすく、圧力によって伸びて薄くなることがあります。
1.木構造の屋根を金属板葺き(平板葺(一文字葺))とする場合、4方向の継目は( 1 )にして葺いていく。
《選択肢》
ア.はぜ締め イ.むだ折り ウ.はぜ掛け
金属板葺き屋根(平板葺き)においては、継目を「はぜ掛け」の方法で行うことが一般的です。はぜ掛けは、金属板の端を重ね合わせて継ぐ方法で、水の浸入を防ぎ、屋根の耐久性を高めます。
◎「はぜ締め」は、金属板や板金の接合技術の一つです。この方法では、金属板の端を折り曲げて互いに重ね、その重ね合わせた部分をハンマーなどでたたいて密着させます。
◎「むだ折り」は、金属板や板金の加工技術で、特に金属板の端部を折り曲げる方法を指します。この技術では、金属板の端を内側または外側に折り返すことで、鋭利な端を無くし、安全性を高めます。
2.鉄筋コンクリート構造の配筋に当たっては、計画した配筋位置を保持したり、かぶり厚さが確保できるよう、( 2 )などを配置する。
《選択肢》
ア.セパレーター イ.スペーサー ウ.ポジショナ
鉄筋コンクリート構造において、計画された配筋位置を維持し、適切なかぶり厚さを確保するために「スペーサー」が使用されます。
◎「セパレーター」は、主に鉄筋コンクリート工事で使用されます。鉄筋と型枠の間に一定の距離(コンクリートのかぶり厚さ)を保つために使われる部材です。
◎「ポジショナ」は、一般的には機械部品やアセンブリーの位置決めに使用される装置やツールを指します。
3.鋼構造の部材を製作工場で溶接する場合の溶接姿勢は、( 3 )が作業速度が速く健全な溶接部が得られやすいので最も良い。
《選択肢》
ア.上向き イ.立向き ウ.下向き
鋼構造部材の溶接時には、「下向き」の溶接姿勢が最も作業効率が良く、健全な溶接部が得られやすいとされています。
4.工事費のうち、専門工事業者の経費を含んだ( 4 )は、材料費、労務費、機械経費、運搬費で構成される。
《選択肢》
ア.直接工事費 イ.共通費 ウ.総合仮設費
「直接工事費」は、工事に直接関わる費用を指し、材料費、労務費、機械経費、運搬費などが含まれます。
5.木工事における内部仕上げを( 5 )といい、材料を下ごしらえし、現場で取り付けて完成させる。
《選択肢》
ア.建方 イ.割付け ウ.造作
木工事における内部仕上げ作業を「造作」といいます。これには、木材やその他の材料を加工し、現場で取り付けて内装や仕上げを行う作業が含まれます。
◎「建方」は、建築工事において建物の骨組みや構造体を組み立てて立ち上げる工程を指します。
◎「割付け」は、木材やその他の建築材料を、実際に建設現場で組み立てる前に、必要な寸法や形状に切断・加工するための計画やマーキングのプロセスです。
1.建築主から委託(委嘱)される( 1 )は、建築物の工事の進行を見守りながら指導や検査を行う。
《選択肢》
ア.設計者 イ.施工者 ウ.工事監理者
工事監理者は、建築主から委嘱されて建築物の工事の進行を監視し、指導や検査を行います。
2.木構造の工事において、主要な骨組の建方が終わると、接合部を羽子板ボルトなどの接合金物やくさび・木栓ですきまがないように締め付け、柱の傾きを直す( 2 )を行う。
《選択肢》
ア.建入れ直し イ.むら直し ウ.建込み
建入れ直しは、木構造の工事において主要な骨組の建方が終わった後に行われる作業です。
◎「むら直し」とは、主に塗装やしっくい(漆喰)塗りなどの表面処理工程において行われる作業です。この工程は、塗り表面の均一性を高めるために重要です。
◎「建て込み」とは、主に建築分野で使用される用語で、建物の構造体や部材を現場に持ち込み、正しい位置に設置し、組み立てる作業のことを指します。この工程は、建物の骨組みを形成する重要な段階です。
3.鉄筋コンクリート構造における鉄筋の継手について、D35 以上の異形鉄筋には原則として( 3 )継手は用いない。
《選択肢》
ア.溶接 イ.重ね ウ.機械式
D35以上の異形鉄筋では、原則として重ね継手は使用されません。この規模の鉄筋には、溶接や機械式継手など、より強固な接合方法が選択されることが多いです。
4.鋼構造では、現寸図をもとに鋼材の表面に加工位置を墨などの線で記したり、浅い傷をつける( 4 )を行い、これに沿って切断や孔あけの加工を行う。
《選択肢》
ア.けがき イ.チョーキング ウ.はつり
けがきは、鋼構造において鋼材の表面に加工位置をマークする作業です。現寸図を基に、墨やけがき針で線を引いたり浅い傷をつけたりし、これに従って切断や孔あけなどの加工を行います。
◎「チョーキング」は、主に建築や木工で使用されるマーキングの手法です。この方法では、チョークライン(チョークを含んだ紐)を使用して、長い直線を素早く正確に材料上に引くことができます。
◎「はつり」は、主にコンクリートや石材の表面を加工するための技術です。この作業では、はつりハンマー(特殊な形状のハンマー)やチゼル(彫刻刀)を使用して、コンクリートや石の表面を削ったり、形を整えたりします。
5.施工者が現場を運営していくために必要な現場管理費(現場経費)と純工事費を合わせたものを( 5 )という。
選択肢》
ア.一般管理費 イ.諸経費 ウ.工事原価
工事原価は、施工者が現場を運営するために必要な現場管理費(現場経費)と純工事費を合わせたものです。
《選択肢》
ア.乱継ぎ イ.はぜ掛け ウ.三つ割