火災保険の「物件の種類と判定」に焦点を当てています。問題は建物の用途や配置、収容物の性質に関する事例を提示し、これらが保険の分類にどのように影響するかを問うています。
具体的には、製造業の建物、住宅敷地内の動産、農家や漁業者の住宅、共同住宅、商品訪問販売従事者の住宅、工場敷地内の住居、建物の構造級別、併用住宅など、様々なシナリオが取り上げられています。これらの例を通じて、火災保険における物件の分類の基準と判断方法の理解が試されています。
物件の分類
住宅物件
このカテゴリには、人々が居住するために使用される建物が含まれます。例えば、一戸建て住宅、アパート、マンションなどがあります。
住宅物件の評価には、建物の構造、所在地、建物の大きさなどが考慮されます。
付属建造物(例:車庫、倉庫)や、住宅内の家財も含めて評価されることがあります。
一般物件
このカテゴリには、住宅、工場、倉庫以外の建物が含まれます。商業施設、オフィスビル、学校、病院などが該当します。
一般物件は、その使用目的や人の出入りの多さなどによってリスクが異なるため、保険料の算定においてはこれらの要素が重要です。
一般物件の中には、特定の用途(例:事務所)で使用される住宅も含まれることがあります。
工場物件
このカテゴリには、製造業のために使用される建物が含まれます。工場や加工施設などがこれに該当します。
工場物件の評価には、使用される機械や化学物質、製造プロセスの性質、作業人員の数などが考慮されます。
工場の敷地内にある事務所や倉庫も、工場物件の一部として評価されることがあります。
倉庫物件
このカテゴリには、物品の保管に使用される建物が含まれます。倉庫や保管施設が該当します。
倉庫物件の評価には、保管される物品の種類、倉庫の構造、所在地、防火設備の有無などが考慮されます。
倉庫敷地内での活動(例:梱包、配送)もリスク評価に影響を与えることがあります。
建物の種類
「M構造」「T構造」「H構造」
M構造
木造建築は主に木材を使用して建てられています。
一般的には耐火性が低いとされ、火災リスクが比較的高いと考えられています。
日本の伝統的な住宅建築に多く見られます。
T構造(鉄骨造)
鉄骨造は、鉄や鋼などの金属材料を主要な構造材料として使用しています。
木造に比べて耐火性が高く、多階建ての建物や商業施設によく用いられます。
火災保険の観点からは、木造よりリスクが低いと評価されることが一般的です。
柱がコンクリート造・コンクリートのブロック造・れんが造・石造・鉄骨造の建物(共同住宅以外)、耐火建築物(共同住宅以外)、準耐火建築物、省令準耐火建物
H構造(鉄筋コンクリート造)
鉄筋コンクリート造は、鉄筋を内蔵したコンクリートで構成されています。
非常に高い耐火性と耐久性を持ち、大型の商業ビルや集合住宅、公共施設などに広く使用されています。
火災保険の観点からは、最もリスクが低いとされる構造の一つです。
M構造・T構造に該当しない建物
一般物件の構造級
1級 | コンクリート造建物、コンクリートのブロック造建物、れんが造建物、石造建物、耐火被覆鉄骨造、耐火建築物 |
2級 | 鉄骨造建物、準耐火建築物、省令準耐火建物 |
3級 | 1級・2級に該当しない建物 |
※保険料は、1級が最も安く、3級が最も高い。
物件の種類と判定(過去問)
・物の製造、加工を行う建物において作業人員が常時 50 人以上の場合は工場物件となるが、この作業人員には臨時雇いやアルバイトも含まれる。
○ – 物の製造や加工を行う建物で、作業人員が常時50人以上いる場合、その建物は工場物件となります。この作業人員には臨時雇いやアルバイトも含まれます。
・住宅敷地内の野積みの動産(家財)は、一般物件となる
× – 住宅敷地内で野積みされている動産(家財)は、一般物件ではなく住宅物件に分類されることが一般的です。
・農家または漁業者の住宅内に農業・漁業用の什器、備品、機械、工具を常時収容する場合、建物および家財については住宅物件とすることができる。
○ – 農家や漁業者の住宅内に農業・漁業用の什器、備品、機械、工具が常時収容されている場合、これらは住宅物件として扱われます。
・共同住宅における戸室とは、1世帯の生活単位として仕切られた建物の区分をいい、管理人が居住している戸室は含まれない
× – 共同住宅の戸室は、1世帯の生活単位として仕切られた建物の区分を指します。管理人が居住している戸室も共同住宅の一部と考えられます。
・商品等が常時保管されている商品訪問販売従事者の住宅は、住宅物件となる。
× – 商品等が常時保管されている商品訪問販売従事者の住宅は、住宅物件ではなく、商業物件または一般物件に分類されることが一般的です。
・工場敷地内に所在する住居専用建物は、工場の囲い(塀、垣、柵等)の外にある場合に限り、住宅物件とすることも工場物件とすることもできる。
○ – 工場敷地内にある住居専用建物は、工場の囲いの外にある場合に限り、住宅物件とすることも、工場物件とすることもできます。
・建物の構造級別の判定において、一般物件(一般建物)のコンクリ一ト造建物は、1級に該当する。
〇 – 一般物件(一般建物)のコンクリ一ト造建物は、1級に該当する。
・併用住宅は、一般物件となる。
× – 併用住宅(商業スペースと住宅スペースが共存する建物)は、一般物件とすることも住宅物件とすることも可能であり、一律に一般物件とするわけではありません。
・物件の種類における共同住宅とは、一つの建物が1世帯の生活単位となる戸室を2以上有するものをいい、各戸室または建物に付属して各世帯が炊事を行う設備の有無は問わない。
× – 共同住宅は、一つの建物に複数の世帯が住む戸室を含むものですが、各戸室や建物に付属する炊事設備の有無も考慮する必要があります。この記述が誤りであるとされるのは、炊事設備の有無も物件の種類判定に影響を与えるためです。
・アパート(共同住宅)、マンション、借家などで、1戸室が事務所に使われている建物は、一般物件とすることも住宅物件とすることもできる。
× – アパート、マンション、借家で一部が事務所に使われている場合、その建物は自動的に一般物件または住宅物件と判定されるわけではありません。使用目的により、その建物の分類が異なる可能性があるため、この記述が誤りとされます。
・季節的に住居として使用され、常時家財が備えられている建物(別荘など)は、住宅物件とすることができる。
○ – 季節的に使用される住居(別荘など)、常時家財が備えられている場合は、住宅物件として判定できます。これは、別荘などの季節的な住居も、通常の住宅と同様に扱われることを示しています。
・住宅物件(一般建物)において、M構造およびT構造の確認ができない建物は、H構造として判定する。
○ – M構造およびT構造が確認できない住宅物件は、H構造として判定される場合があります。これは、特定の構造特徴が不明な場合に適用される一般的なルールです。
・住宅物件の判定は一つの建物ごとに行うが、単に通路のみに使用される渡廊下で、本屋と共通の屋根を有しないものは、別個の建物として取り扱うことができる。
○ – 住宅物件の判定は通常、一つの建物ごとに行われます。しかし、通路としてのみ使用される渡廊下は、別個の建物として扱うことができます。これにより、物件の分類が柔軟に行えます。
・一般物件において取りこわし中の建物は、工事着工前の構造級別にかかわらず3級と判定される。
× – 一般物件において取り壊し中の建物が自動的に3級と判定されるわけではありません。建物の現在の状態や保険会社の規定によって、異なる級別が適用される可能性があります。
・工場物件および倉庫物件は、「敷地内」の建物・屋外設備装置の全体で判定する。
〇 – 工場物件及び倉庫物件は、敷地内の建物・屋外設備装置全体で判定されます。
・住宅物件、工場物件、倉庫物件以外の物件は、一般物件となる。
○ – 住宅物件、工場物件、倉庫物件以外の物件は、一般物件となります。これは、火災保険において一般的な分類の方法です。
・住宅に付属する自家用車専用車庫は、一般物件となる。
× – 住宅に付属する自家用車専用車庫は、住宅物件の一部と見なされることが多いです。これは、車庫が住宅の機能の一部として利用されるためです。
・併存住宅の規定に合致しない共同住宅は、1戸室でも店舗があれば、建物全体が一般物件となる。
○ – 併存住宅の規定に合致しない共同住宅で、一戸室に店舗がある場合、建物全体は一般物件として扱われます。商業用途の存在は建物全体の分類に影響を与えます。
・住宅物件(一般建物)の建物の構造級別の判定において、準耐火建築物および省令準耐火建物の共同住宅は、T構造となる。
○ – 住宅物件(一般建物)において、準耐火建築物や省令準耐火建物の共同住宅は、T構造に分類されることがあります。これは、建物の耐火性能に基づく分類です。
・一般物件の建物の構造級別の判定にあたり、一つの建物が2種以上の異なる柱の部分からなる場合には、それぞれの柱により判定される複数の構造級別のうち、最も低い基本保険料率の構造級別をもってその建物全体の級別とする。
× – 一般物件の建物が異なる柱の部分から構成される場合、その建物全体の構造級別は、最も低い基本保険料率の構造級別ではなく、最も高い基本保険料率の構造級別に基づくことが一般的です。
・倉庫敷地内の作業場は、動力、電力、作業人員の規模に応じて、工場物件か一般物件のいずれかとなる。
○ – 倉庫敷地内の作業場は、動力、電力、作業人員の規模に応じて、工場物件か一般物件のいずれかとなります。これは、作業場の使用目的と機能が判定基準となります。
・工場物件(一般建物)の建物の構造級別の判定において、耐火被覆鉄骨造建物は2級に該当する。
× – 耐火被覆鉄骨造の建物が必ずしも2級に該当するわけではありません。建物の具体的な耐火性能や他の構造的特徴によって、異なる級別が適用される可能性があります。
・工場敷地内で工場の囲いの中に所在する事務所は、一般物件である。
× – 工場敷地内で工場の囲いの中に所在する事務所は、その用途と位置に基づいて、工場物件の一部と見なされることが多いです。事務所の機能が工場運営に直接関連している場合、一般物件ではなく工場物件に分類される。
・住宅に付属するタンクやサイロは、住宅物件である。
○ – 住宅に付属するタンクやサイロは、住宅物件の一部とみなされます。これは、住宅に関連する構造物や設備が同じカテゴリに分類されるためです。
・住宅建物内に家財以外の動産を一時的に収容する場合、住宅建物、家財および家財以外の動産は、いずれも一般物件として取り扱う。
× – 住宅建物内に一時的に収容される家財以外の動産は、必ずしも一般物件として扱われるわけではありません。住宅の使用目的が変わらない限り、住宅物件の分類が維持されることが多いです。
・家財を備えていない季節的に住居として使用される別荘は、住宅物件となる。
× – 家財を備えていない季節的に住居として使用される別荘も、住宅物件として扱われることがあります。季節的な使用性質があっても、住居としての機能を果たす場合は住宅物件とみなされることが一般的です。
・損害保険代理店の事務所兼用住宅は、一般物件となる。
○ – 損害保険代理店の事務所兼用住宅は、商業活動が行われているため、一般物件として扱われます。これは、建物の使用目的が住宅と商業の両方を含むためです。
・寮、寄宿舎および下宿屋は、住宅物件となる。
× – 火災保険における物件の分類は、その建物の主要な使用目的や機能に基づいて行われます。対照的に、寮、寄宿舎、下宿屋は、特定の集団(例えば、学生、従業員)のための短期または特定目的の宿泊施設として機能することが多いです。
・住宅物件において、屋根がコンクリート造である建物の屋上に設けられた屋上建物(本屋建物の屋上部分に本屋建物と主要構造部を異にして建築された建物)は、本屋建物とは別個の建物として取り扱うことができる。
○ – 屋根がコンクリート造の建物の屋上に設けられた屋上建物は、本屋建物とは別個の建物として扱うことができます。これは、屋上建物が独立した構造や用途を持つためです。
・住宅物件(一般建物)の建物の構造級別の判定において、鉄骨造の共同住宅はM構造と判定される。
× – 鉄骨造の共同住宅はM構造として判定されるわけではありません。通常、鉄骨造はT構造(鉄骨造)として分類されます。
・けい古事(ピアノ、生花、茶道、裁縫など)や療治(はり、きゅう、マッサージなど)を内職程度に行っている住宅は、住宅物件を適用する。
○ – けい古事や療治を内職程度に行っている住宅は、その活動が住宅の主要な用途に影響を与えない限り、住宅物件として適用されます。これは、家庭内の小規模な活動が住宅物件の分類に影響を与えないことを意味します。
・一般物件、工場物件、倉庫物件は、「敷地内」の建物・屋外設備装置の全体で判定する。
× – 工場物件、倉庫物件は、「敷地内」の建物や屋外設備装置を個別に評価する場合があります。全体で一括して判定するとは限りません。
・れんが造の共同住宅は、構造級別においてT構造と判定される。
× – れんが造の共同住宅が必ずしもT構造(鉄骨造)と判定されるわけではありません。建材や建築様式によって異なる構造級別が適用されることがあります。
・一般物件や工場物件(一般建物以外の建物)における改築中の建物の構造級別は、改築前の構造級別による。
○ – 一般物件や工場物件(一般建物以外の建物)における改築中の建物の構造級別は、改築前の構造級別に基づいて評価されることがあります。
・住宅敷地内に野積みの動産(家財)は、一般物件となる。
× – 住宅敷地内に野積みの動産(家財)は、一般物件ではなく、住宅物件の範疇に入ることが一般的です。
・診療所や行政書士事務所は、特例で住宅物件となる。
× – 診療所や行政書士事務所は、特例として住宅物件となることは一般的ではありません。これらは商業活動を行う場所であるため、一般物件として扱われることが多いです。
・省令準耐火建物で一般建物(工場物件)の構造級別は、2級である。
○ – 省令準耐火建物で一般建物(工場物件)は、通常、2級の構造級別に分類されます。
・工場の敷地内にあるが、不特定多数の外部の者が利用できる飲食店は、いかなる場合も一般物件となる。
× – 工場の敷地内にあるが、不特定多数の外部の者が利用できる飲食店は、その位置や利用者によらず一般物件となるとは限りません。敷地内の他の用途や構造によって、分類が異なる場合があります。
・商品等が常時保管されている商品訪問販売従事者の住宅は、一般物件となる。
○ – 商品等が常時保管されている商品訪問販売従事者の住宅は、住宅物件ではなく、一般物件として扱われます。商業活動が行われているためです。
1.神社の社務所は、一般物件となる。
○ – 神社の社務所は、一般物件として扱われます。これは、社務所が住居ではなく、宗教的、行政的、あるいは事務的な活動が行われる場所であるためです。
2.共同住宅とは、一つの建物が1世帯の生活単位となる戸室を2以上有するものをいい、各戸室または建物に付属して各世帯が炊事を行う設備の有無は問わない。
× – 共同住宅の定義は、一つの建物に複数の独立した生活単位(戸室)が含まれることですが、各戸室に炊事設備があるかどうかは生活可能かどうかを判断する指標になります。
3.住宅に付属する自家用車専用車庫は、一般物件の扱いとなる。
× – 住宅に付属する自家用車専用車庫は、一般的には住宅物件の一部と見なされます。これは、車庫が住宅の機能と直接関連しているためです。
4.住宅物件の判定は一つの建物ごとに行うが、単に通路のみに使用される渡廊下で、本屋と共通の屋根を有しないものは、別個の建物として取り扱うことができる。
○ – 住宅物件の判定は一つの建物ごとに行いますが、単に通路として使用される渡廊下で、本屋と共通の屋根を持たない場合、それは別個の建物として扱うことができます。
5.工場物件(一般建物)の建物の構造級別の判定において、耐火被覆鉄骨造建物は2級に該当する。
× – 耐火被覆鉄骨造の建物が必ずしも2級に該当するとは限りません。建物の耐火性能によって、異なる構造級別が適用される可能性があります。
6.住宅物件(一般建物)において、耐火建築物の共同住宅はM構造となる。
○ – 住宅物件(一般建物)において、耐火建築物の共同住宅は、M構造(木造)として扱われることがあります。
7.保険期間のいかんを問わず、工事完成後にM構造、T構造の共同住宅となる建築中の建物は、一般物件を適用しなければならない。
○ – 保険期間に関わらず、工事完成後にM構造、T構造の共同住宅となる建築中の建物は、一般物件として適用される必要があります。
8.住宅物件と判定された共同住宅における戸室とは、1世帯の生活単位として仕切られた建物の区分をいい、管理人が居住している戸室は含まれない。
× – 住宅物件と判定された共同住宅において、戸室は1世帯の生活単位として仕切られた建物の区分を指しますが、管理人が居住している戸室も含まれます。
柱がコンクリート造・コンクリートのブロック造・れんが造・石造の共同住宅、耐火建築物の共同住宅