鑑定人試験対策:保険価額の評価

主に保険価額の評価に関連する内容に焦点を当てています。具体的には、機械や建物、家財などの保険価額の評価方法、再調達価額と時価額の違い、各種資産の減価評価、および保険法に関する知識が中心です。

また、商品の流通段階における価格評価や、特定のアイテム(例えばデッドストック)の保険価額算定方法についても問われています。これらの問題は、保険業界における価値評価の複雑さと多様性を反映しています。

保険価額の評価

保険価額の評価は、資産の種類や状況、市場状態など多様な要因を考慮し、柔軟かつ具体的なアプローチが必要です。

再調達価額と時価額の理解

再調達価額は新しい同等品を購入するのに必要な費用を意味し、時価額は現在の市場価値を指します。保険価額の評価では、これらの違いを理解し適切に適用することが重要です。

資産種別ごとの評価方法の違い

機械、建物、家財など、異なる資産種別ごとに評価方法が異なります。例えば、建物の評価では基礎部分や付帯設備をどう扱うかが重要で、家財では家族構成や消費生活を考慮します。

流通過程における価格評価の考慮

商品の保険価額評価では、流通過程の各段階での価格が重要です。最終的な販売価格だけでなく、流通過程の価格変動も考慮する必要があります。

特殊な状況下の評価

「デッドストック」のような特殊な商品の評価では、市場価格や値引きを考慮することが必要です。

損害保険契約の原則の理解

損害保険では、被保険物の原状回復が目的であり、損害発生の地点と時点を基準にした損害額の算出が行われます。

過去問

1.機械の保険価額の評価を行う場合、運搬費、据付費はいっさい含まない。

解答:×

機械の保険価額の評価において、運搬費や据付費を含まないというのは一般的ではありません。通常、機械の保険価額は、その機械を新たに購入し、運搬し、据え付けるのに必要な全費用を含めて評価されます。

2.取得年度の古い営業用什器・備品の再調達価額の評価は、資産台帳等で評価対象什器・備品の原始取得価額と同取得年度を調べて、これに価格変動率を用いて把握する。

解答:〇

取得年度の古い営業用什器・備品の再調達価額を評価する際、原始取得価額に価格変動率を適用するのは一般的な方法です。

3.不動産鑑定評価の方式の1つである原価方式(原価法)とは、保険の対象の再調達価額(新価)を算出し、それから使用損耗および経過年数等に応ずる減価額を控除して現在価額(時価額)を評価する方法である。

解答:〇

不動産鑑定評価における原価方式(原価法)では、再調達価額(新価)を算出し、そこから使用損耗や経過年数に応じた減価額を差し引いて現在価額(時価額)を評価します。

4.一般商品における売残品、半端品、棚ざらし品、流行遅れの商品などのいわゆる「デッドストック」は、値引きなどを考慮せず、また「デッドストック」としての市場価格によらずにその商品の本来の取引価格に基づき保険価額を算定する。

解答:×

一般商品において「デッドストック」とされる商品の保険価額を算定する際には、その商品の市場価格やデッドストックとしての価格、値引きなどを考慮するのが一般的です。つまり、デッドストックであっても市場価格やその他の要因を考慮して価額を算出します。

5.原価方式(原価法)により建物の再調達価額を算出する場合で、新築時における建築費が判明していないときは、当該建物と同種または同等の材料を使用している事例を探し、その建物の新築費単価をもとに算出する方法がある。

解答:〇

建物の再調達価額を原価方式で算出する際、新築時の建築費が不明な場合、同種または同等の材料を使用した事例を参考に新築費単価を基に算出する方法は適切です。

6.商品の評価を行う場合の基準となる再仕入原価には、商品そのものの再仕入価格のほか、販売管理費など未実現の費用および利益も含めた販売価格も含める。

解答:×

販売管理費、未実現の費用、および利益は、商品の再仕入原価とは直接関連しない要素です。これらは商品の仕入れコストとは別の、事業運営に関連する費用や利益です。

※再仕入原価は、あくまで商品が市場でどのような価値を持つかを示すものであり、これらの間接費や利益は、その商品の市場価値には影響しません。

1.機械の仕様は、一般に複雑多岐にわたるため、一つの仕様のみでその機械の能力または価格を表現することは困難である。

解答:〇

機械の仕様が複雑多岐にわたるため、一つの仕様だけで機械の能力や価格を表現することは困難であるというのは正しい。

機械は多様な機能や性能を持ち、それらが総合的に価格に影響を与えるため、一つの仕様だけでは総合的な能力や価値を適切に評価することはできません。

2.製品の保険価額の評価は、製造原価を評価の基準とするが、未実現費用ならびに希望利益を含む。

解答:×

保険価額は、製造原価や市場価値に基づいて評価されるべきで、未実現費用や希望利益は通常含まれません。

3.建物を保険の対象として火災保険を契約する場合、保険契約者の選択により、基礎工事費を建物に含めないで評価を行うことはできない。

解答:×

建物の保険評価において、基礎工事費を建物の評価から除外することは通常可能です。保険契約者は、保険の範囲を選択する際に、どの要素を含めるかを決定できるため、この回答は誤りです。

4.建物の付帯設備(電気、通信、ガス、給排水、冷暖房、エレベーター等)は、基本的に建物を構成する一要素であり建物の一部として評価されるが、必要に応じて建物本体と分けて評価することが大切である。

解答:〇

建物の付帯設備は通常、建物の一部として評価されますが、必要に応じて建物本体とは別に評価することも重要です。これは特に修理や更新が必要な場合に顕著です。

5.営業用什器・備品は、いずれも短期的な消費財であるため、通常、個々の減価率は同率となる。

解答:×

営業用什器・備品が全て短期的な消費財であるというのは誤りです。これらのアイテムには様々な種類があり、その耐久性や使用頻度によって減価率は異なります。したがって、個々の減価率が同率であるとは限りません。

6.評価方法の一つである定率法は、経年減価は初めの年ほど多く、経過年数とともに減少する。

解答:〇

定率法において経年減価が最初の年ほど多く、経過年数とともに減少するのは正しいです。定率法は、資産の価値が時間とともに一定の割合で減少すると仮定する方法であり、初期の減価が大きいのが特徴です。

1.中古建物購入の場合の再調達価額の評価にあたっては、土地価格と建物価格との区別が困難であり、区別できた場合でも建物の本来の価値を必ずしも反映していないことに留意する必要がある。

解答:〇

中古建物の再調達価額の評価では、土地価格と建物価格の区別が困難であり、建物の本来の価値を必ずしも反映していない可能性があるというのは正しい。土地と建物の価値は異なるため、これらを正確に区分することが重要です。

2.評価方法の1つである定率法は、経年減価は初めの年ほど少なく、経過年数とともに増加する。

解答:×

定率法は、資産の価値が時間とともに一定の割合で減少すると仮定する方法で、通常は初期の減価が大きく、時間が経つにつれて減少します。

3.損害保険契約は、被保険物件の原状回復が目的であることから、評価にあたっては、継続使用財、交換財に関係なく、時価額が保険価額となる。

解答:〇

損害保険契約では被保険物件の原状回復が目的であり、評価に際しては時価額が保険価額となるのは正しい。これにより、被保険物件が損害を受けた際に、現在の市場価値に基づいて補償が行われます。

4.中古機械は、仕様の多元性や機械の個別価格性だけで評価されるので、経過年数や使用および保守管理条件等によって現在の価格が異なることはない。

解答:×

中古機械の評価は、仕様の多元性や個別価格性だけでなく、経過年数や使用状況、保守管理の条件によっても異なります。機械の現在価値はこれらの要因によって影響を受けます。

5.営業用什器・備品の再調達価額は、資産台帳からその数量、取得価格を把握し、資産台帳に記載されない少額資産および消耗品の在高を除いて評価する必要がある。

解答:×

営業用什器・備品の再調達価額を評価する際、資産台帳から数量や取得価格を把握するのは適切ですが、資産台帳に記載されない少額資産や消耗品の在高を除外する必要は必ずしもありません。

6.半製品および仕掛品では、原材料の仕入原価(直接材料費)に各工程で付加された加工費(直接労務費、直接経費、製造間接費)を加えた製造原価が保険価額の評価の基準となる。

解答:〇

半製品や仕掛品の評価において、原材料の仕入原価に各工程で付加された加工費を加えた製造原価が保険価額の評価基準となるのは正しい。これにより、製品が持つ現在の価値が適切に反映されます。

1.保険価額のある火災保険契約や車両保険契約においては、損害額の評価は保険価額の評価ということになるが、保険法では、損害発生の地および時を基準とした具体的な損害額算出方式が規定されている。

解答:×

損害評価では、被保険物の損害発生前の状態と損害発生後の状態を比較し、修理費用、交換費用、価値の減少などを考慮して損害額を算定します。これは保険価額とは別のプロセスであり、損害額が保険価額を超えることはありません。

2.耐火構造の病院、ホテル、劇場等の特殊建築物では、付帯設備費割合が総工事費に対して相当の割合に達するものがあるため、評価に際しては、坪単価で計算することが望ましい。

解答:×

耐火構造の特殊建築物における付帯設備費の割合は確かに高い場合がありますが、坪単価で計算することが常に望ましいとは限りません。建築物の種類や特性により、評価方法は異なることがあります。

3.家財の再調達価額の評価に当たっては、いくつかのモデル家庭の家財を想定し、それに対する対象家庭の家族構成と生活程度の差を考慮すれば、大づかみながら家財の一般的な評価が可能となる。

解答:〇

家財の再調達価額の評価において、モデル家庭を想定し、家族構成や生活程度の差を考慮することで、大まかながら家財の一般的な評価が可能です。

4.評価時点における機械の経年減価額(再調達価額×減価率)は、実務経験に照らして評価するよりも、客観性が高い企業会計上の減価償却方法で評価する。

解答:×

機械の経年減価額を評価する際、企業会計上の減価償却方法が常に客観性が高いとは限りません。実務経験や市場の状況、機械の特性に基づく評価も重要です。

5.営業用什器・備品は、いずれも短期的な消費財であるため、通常、個々の減価率は同率となる。

解答:×

営業用什器・備品が全て短期的な消費財であり、減価率が同率であるというのは誤りです。什器・備品の種類や使用状況によって減価率は異なることが一般的です。

6.毎月棚卸をしていない企業の商品を評価する場合、直近の決算時の「貸借対照表」の商品、または「損益計算書」の期末棚卸高に貯蔵品等の金額を加算したいずれかを基準とする。

解答:×

棚卸をしていない企業の商品を評価する際、直近の決算時の情報のみを基準とするのは不十分です。市場状況やその後の経済活動も考慮する必要があります。

1.機械の保険価額の評価を行う場合、運搬費、据付費が付加されているときは、それらの費用を除く。

解答:×

機械の保険価額の評価に際して、運搬費や据付費を除くというのは誤りです。通常、機械の保険価額は、その機械を新たに購入し、運搬し、据え付けるのに必要な全費用を含めて評価されます。運搬費や据付費は、その機械の全体的な価値の一部を形成します。

2.建物を保険の対象として火災保険を契約する場合、建物の基礎部分は建物に含めて契約する場合が多いが、保険契約者の選択により基礎工事費を除外することができる。

解答:〇

建物を火災保険の対象とする場合、基礎部分は通常、建物に含まれますが、保険契約者の選択により基礎工事費を除外することが可能です。

3.家財の評価に当たっては、まず対象家庭の家族構成(男女別、年齢別)、その消費生活等の実態(職業、資産、収入、趣味、嗜好、生活様式等)などを把握する。

解答:〇

家財の評価に当たっては、家族構成、消費生活の実態などを把握することが重要です。これにより、家財の再調達価額をより正確に評価できます。

4.機械は、包括的な標準市場価格の判定が容易であり、メーカーまたは銘柄別個別価格性はほとんどないといえる。

解答:×

機械には包括的な標準市場価格が存在するとは限らず、メーカーや銘柄によって個別の価格性が存在することが一般的です。機械はその用途、性能、状態によって価格が大きく異なる。

5.一般商品における売残品、半端品、棚ざらし品、流行遅れの商品などのいわゆる「デッドストック」は値引きなどを考慮せず、また「デッドストック」としての市場価格によらずにその商品の本来の取引価格に基づき保険価額を算定する。

解答:×

「デッドストック」とされる商品の保険価額を算定する際には、市場価格や値引きなどを考慮することが一般的です。デッドストックであっても、その時点での市場価格や状況を反映して評価されるべきです。

6.製造工場における原材料の保険価額の評価は、再仕入原価を評価の基準とする。

解答:〇

製造工場における原材料の保険価額の評価は、再仕入原価を基準とするのが適切です。これにより、原材料が市場でどのような価値を持つかを反映できます。

1.保険価額の評価にあたり、一部の例外を除いて、再調達価額と時価額が等しくなるのは交換財である「機械・装置」である。

解答:×

保険価額の評価において、機械・装置などの交換財においても、再調達価額と時価額が常に等しいわけではありません。再調達価額は新しい同等品を購入するのに必要な費用を示し、時価額は市場での現在の売却価格を示します。市場の状況や機械・装置の状態によって、これら二つの価値は異なる場合があります。

2.建物の評価にあたり、電気・通信・ガス・給排水・消火・エレベーター等の付帯設備 は、基本的に建物を構成する一要素であることから、必ず建物本体と一体で評価しなければならない。

解答:×

建物の評価において、電気・通信・ガス・給排水・消火・エレベーター等の付帯設備は建物の一部として評価されることが一般的ですが、必ずしも建物本体と一体で評価する必要はありません。これらの設備は、必要に応じて別々に評価されることもあります。

3.商品の評価の特色として、流通過程の各段階では価格が異なるが、最終的な価格は同じであることから、評価対象が流通過程のどの段階にあるかの確認は不要である。

解答:×

商品の評価においては、流通過程の各段階で価格が異なることが一般的ですが、最終的な価格が同じであるために流通過程の確認が不要であるというのは誤りです。流通の各段階での価格は、その商品の現在の価値やコストを反映し、評価において重要な要素となります。

4.家財の経年減価額を算出する場合、一般的には、個々の家財の買い替え等を考慮して、 保険証券記載の建物に収容されている家財全体の包括的減価率を設定したうえで計算する。

解答:〇

家財の経年減価額を算出する際には、個々の家財の買い替えや使用状況を考慮し、建物に収容されている家財全体の包括的減価率を設定して計算することが一般的です。